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2018年3月24日土曜日

(1186) 「福祉・環境共に良好な国」「経済成長と幸福」 / 「人口減少社会の構想」(15-2/最終回) (放送大学)

 
      最新投稿情報
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(K0327)  高齢者のゴルフ 記憶力改善効果 <脳の健康>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2018/03/k0327.html
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【総論】
 
A.「福祉・環境共に良好な国」の二つの特徴

 前回、「定常型社会」または「持続可能な福祉社会」という社会像~目指す姿~として、「福祉・環境共に良好な国」を示した。今回は、先ず、その二つの特徴について述べる。

(1)  人と人との関係性・人と自然との関係性
(2)  ローカルな経済循環
 

B.経済成長と幸福

 次に、幸福について考える。
 年間平均所得1万ドルあたりまでは経済成長に伴う所得増加と生活満足度の上昇との間にかなり明瞭な相関が見られるが、所得1万5000ドル以上の国々でみると両者の関係はきわめてランダムなものになっている。
 現在の日本が経済的豊かさのわりに、幸福度の調査では、ずいぶん低い位置にある
 経済だけでは幸福は決まらない。ブータンの国民総幸福量(GNH)、荒川区民総幸福度(GAH)などの指標が開発されている。
 「人口減少社会というものをそもそもどうとらえるか」。「経済成長=幸福」という思い込みを捨てると、人口減少は、そう悪いものではない。目標(目指す姿)を見定めて、人口減少に応じた幸福な日本を実現していこう。
 
(1)  1人あたりの所得と生活満足度の相関
(2)  日本の幸福度ランキング
(3)  ブータンの国民総幸福量(GNH
(4)  荒川区民総幸福度(GAH
(5)  人口減少社会というものをそもそもどうとらえるか
 


【各論】
 
A. 「福祉・環境共に良好な国」の二つの特徴
 
(1)  人と人との関係性・人と自然との関係性

 これらの国では、「分かち合い」への合意が浸透している。「福祉/環境」環境指標や社会像の背景には、そうした人と人との関係性(ひいては人と自然の関係性)のありようが働いている。


(2)  ローカルな経済循環

 これらの国のいずれも「ローカル」なレベルでのヒト・モノ・カネの経済循環が活発な国といえる。つまりローカルな経済循環から出発しつつ、ナショナルそしてグローバル・レベルの再配分や様々な規制を織り込み、ローカルからグローバルへと積み上げていくよう経済社会の実現が課題になる。
 



B.経済成長と幸福
 
(1)  1人あたりの所得と生活満足度の相関 (添付図参照)

===== 引用はじめ
 図15-1は、世界の国々における1人あたり所得と生活満足度の相関を見たものだ。
 年間平均所得1万ドルあたりまでは経済成長に伴う所得増加と生活満足度の上昇との間にかなり明瞭な相関が見られるが、
 それを超えたレベル以降は徐々にそうした相関関係が薄くなり、たとえば所得1万5000ドル以上の国々でみると両者の関係はきわめてランダムなものになっている。
===== 引用おわり
 

(2)  日本の幸福度ランキング

   2018年版の「世界幸福度ランキング」

===== 引用はじめ
 国連は2018314日、2018年版の「世界幸福度ランキング」を発表した。日本は54位で、去年の51位から後退した。

 調査に携わったことがある世界平和研究所の高橋義明主任研究員によると「あくまで主観の調査なので文化の違いが影響する」という。

 54位の日本で、多くの人が答えるというのが「5」。『けやきヒルズ』(AbemaTV)に出演したアーサー・ホーランド牧師は「日本は無常・儚さを長い歴史の中で染み込ませている民族。『禍福は糾える縄の如し』という言葉があるように、人生は幸福と不幸が入り混じるものだという概念があるために『5』と回答する人が多いのでは」と指摘する。

 アーサー牧師は「日本の『5』には、自分だけが幸せだと周りを寂しくさせてしまうという"気配り"も入っているのでは」と述べた。
===== 引用おわり
https://www.huffingtonpost.jp/2018/03/16/world-happiness-ranking_a_23388154/
 

   国際比較ができる幸福度調査

===== 引用はじめ
(1)経済協力開発機構(OECD)が実施する「より良い暮らし指標 (Better Life Index) 」。2012年実施 … 日本は、36ケ国中21位。

(2)エラスムス大学の幸福度調査(オランダ。World Database of Happinessを用いた調査)。2011年実施 … 日本は、調査国中46位。

(3)フォーブス誌が2010年に発表したギャラップ社の20052009年の幸福度調査。 … 日本は、調査国中81位。 

(4)ミシガン大学社会調査研究所による幸福度調査。2008年実施 … 日本は、調査国中43位。

(5)英国レスター大学の社会心理分析の幸福度調査。2006年実施 … 日本は、調査国中90位。 

(6)世界価値観調査協会による世界価値観調査(World Value Survey)。 … 2000年の幸福度の平均値は60カ国中35位。 
===== 引用おわり
http://www.hj.sanno.ac.jp/cp/page/9295
 

(3)  ブータンの国民総幸福量(GNH

===== 引用はじめ  国民総幸福量(GNH)の考え方
 ブータンの1人当たりの国民総所得は1,920米ドル(世界銀行,2010年)であるにもかかわらず,国勢調査(2005年)ではブータン国民の約97%が「幸せ」と回答しています。
 「国民総幸福量(GNH)は国民総生産(GNP)よりも重要である」と,1970年代にGNHの概念を提唱したのは,先代のジグミ・シンゲ国王でした。GNHは,経済成長を重視する姿勢を見直し,伝統的な社会・文化や民意,環境にも配慮した「国民の幸福」の実現を目指す考え方です。
 その背景には仏教の価値観があり,環境保護,文化の推進など4本柱のもと,9つの分野にわたり「家族は互いに助け合っているか」「睡眠時間」「植林したか」「医療機関までの距離」など72の指標が策定されています。国家がGNH追求のために努力することは憲法にも明記され,政策を立案,調整するGNH委員会が重要な役割を担っています。
===== 引用おわり
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol79/index.html
 

(4)  荒川区民総幸福度(GAH

===== 引用はじめ
 区では、だれもが幸せを実感できるまち「幸福実感都市あらかわ」の実現を目指して、荒川区民総幸福度(グロス アラカワ ハッピネス:GAH)の向上に関する取り組みを進めています。
 荒川区民総幸福度(GAH)は、区民の皆さんの幸福実感を測るための指標を作成し、それを測定・分析することで、皆さんの幸福実感が更に向上するような、より良い区政運営につなげていくものです。
===== 引用おわり
https://www.city.arakawa.tokyo.jp/kusei/chosa/GAH_Q.html
 

(5)  人口減少社会というものをそもそもどうとらえるか

===== 引用はじめ
 一般的に、人口減少という現象は概してマイナスのものとして議論されることが多い。“人口が減少すると国としての活力や国力が低下してしまう”“人口減少は労働力の減少を意味するから経済にとってマイナスである”等々といった論である。
 しかし一方、たとえば自然資源あるいは地球環境の「有限性」ということを考えると、人口が増え続けるのが常に望ましいかというと、一概にそうとはいえない面があることは確かである。
===== 引用おわり
 

 「経済成長=幸福」という思い込みを捨てると、人口減少は、そう悪いものではない。目標(目指す姿)を見定めて、人口減少に応じた幸福な日本を実現していこう。
 

出典
広井良典、「第15章 人口減少社会の構想」、宮本みち子・大江守之、「人口減少社会の構想」、放送大学教材(‘17)


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