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2018年3月20日火曜日

(1183)  (9) 二葉亭四迷『浮雲』 / 「明治の50冊」

 
      最新投稿情報
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(K0324) 「活動方針」の変更 /自治会長奮闘記(9) <地域の再構築>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2018/03/k03249.html
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【背景】
===== 引用はじめ
 … 明治10年代後半の言文一致運動は、文章を口語的な文体で書こうという文章改革だった。そのうねりのなかで生まれた初の言文一致体小説『浮雲』…。
 二葉亭は第一編執筆時23歳。文学の師で、生涯の友でもあった5歳上の坪内逍遥から「(速記本『怪談牡丹燈籠』で人気だった三遊亭)円朝の落語通りに書いてみたらどうか」などと助言され、翻訳物などで試作を重ねた末の果実だった。
===== 引用おわり
 

【込めたテーマ】
===== 引用はじめ
 折しも、18~19年の官制改革や学校改革など、憲法発布を控えて国家体制が整っていく一方、維新以来のさまざまな矛盾が表面化する時期。二葉亭 … によれば、『浮雲』には「官尊民卑への反発」「青年男女の傾向」「新旧思想の衝突」「知識階級の苦悩」「日本文明の裏面」といったテーマが込められていた。
===== 引用おわり
 

【書評(1)(2)
===== 引用はじめ
 森鴎外は後に、「小説の筆が心理的方面に動き出したのは、日本ではあれが始であらう。あの時代にあんなものを書いたのには驚かざることを得ない」、
 正宗白鳥も「これは単なる青春詠嘆の書ではない。(中略)当時の社会相が、多少の稚気があつても、そこに活写されてゐる」と評した。
===== 引用おわり
 

【書評(3)
===== 引用はじめ
 早稲田大の中島国彦名誉教授(日本近代文学)は「文学史的な意味合いだけでなく、いろいろなことを教えてくれる。模索そのものも大きなテーマで、二葉亭自身が文字どおり模索し、試みた。彼がこの作品に注いだ思いが、近代小説を後に支える原動力になった」とみる。そのうえで「時代や人間の可能性、あり方、幅を考えるときに役立つ」と後世に与える意義を強調する。
===== 引用おわり
 

【書評(4)
===== 引用はじめ
 『二葉亭四迷伝』などで知られる文芸評論家、中村光夫が昭和16年、岩波文庫版に寄せた解説の一文がしみる。
 〈周囲をながめて見たまえ。文三も昇もなお形をかえて、現代に生きる僕らの身辺に(中略)心の内部に厳として実在するのである〉
===== 引用おわり
 


【プロフィル】二葉亭四迷(ふたばてい・しめい)
 元治元(1864)年、尾張藩士の子として江戸で生まれる。本名・長谷川辰之助。東京外国語学校露語科でロシア文学を学び、明治20年、山田美妙著『風琴調一節』とともに言文一致体初の小説『浮雲』を出版。翻訳『あひゞき』『めぐりあひ』なども次々発表。内閣官報局員、東京外国語学校教授、事業家を経て、大阪朝日新聞社東京出張員となり、小説『其面影』『平凡』を連載。特派員としてロシアに渡ったが、肺結核で帰国途上の明治42(1909)年5月10日、ベンガル湾上の船中で死去。
 


【引用】
二葉亭四迷 浮雲
苦悩描き、近代小説の原動力に (産経新聞 2018/03/15
 
(9)二葉亭四迷「浮雲」 苦悩描き、近代小説の原動力に
http://www.sankei.com/life/news/180312/lif1803120021-n1.html
(添付図はこのサイトから転載)
 
 

【ご参考】以前にも、取り上げたことがある。
(600) 二葉亭四迷「浮雲」
http://kagayaki56.blogspot.jp/2016/08/600.html


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