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2018年3月4日日曜日

(1166) 人間と社会の暗部を見つめて - 『点と線』 / 松本清張スペシャル (1)


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(K0307)  高齢者に至れり尽くせり <インクルーシブ社会>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2018/03/k0307.html
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第1回 3月5日放送/3月7日再放送

  タイトル: 人間と社会の暗部を見つめて - 『点と線』
 
Eテレで月曜日。再放送は水曜日、時間は、以下の通り。
  月曜日   午後 10:25~10:50
  ()水曜日 午前 05:30~05:55
        午後 00:00~00:25

 

【超簡単な説明】(【あらすじ】は後述)
 列車時刻表を駆使し、推理小説界に“社会派”の新風を吹き込んだベイトセラー
 

【目次】

(1)  清張作品と土地のつながり

(2)  『点と線』あらすじ

(3)  寝台特急『あさかぜ』の登場

(4)  特急と急行の明確な“格差”

(5)  四分間のトリック

(6)  現実の人間を描く

(7)  物語を動かす女性の心理

(8)  『点と線』はなぜ古びないのか
 



ここでは「(8)『点と線』はなぜ古びないのか」を取り上げる。
 
  女性の視点が入っている
 清張と並ぶ国民作家と呼ばれる司馬遼太郎とは異なる、清張の優れたところがある。女性の視点を入れることで、清張は遼太郎よりも女性の読者を獲得したのだろう。
 
  読者が登場人物に感情移入できる
 『点と線』には現代と強くつながっている面と、完全に断絶している面の両方がある。小説の背景にあったブルートレーンはすでに全廃されており、小説で採用されたようなトリックはもう成立しようがない。他方、人間が抱えている心理や欲望というものは根本的に変わっておらず、今でも感情移入できる余地が残っている。
 
  格差がはっきり描かれている
 日本社会はいったんは一億総中流と言われたものの、バブル崩壊を経て、現在は持てる者と持たざる者との差が広がる格差社会だと言われている。そうした状況の中でこの小説を読むと、格差がはっきりと描かれていることが逆に切実に迫ってくる。
 


【あらすじ】 Wikipediaより

 料亭「小雪」の女中2人と、東京駅の13番線プラットフォームで見送られていた機械工具商会を経営する安田辰郎。この3人は、向かいの15番線プラットフォームに、同じく「小雪」で働くお時が男性と夜行特急列車「あさかぜ」に乗り込むところを見つける。だが数日後、お時とその男・佐山は、香椎の海岸で情死体となって発見された。

 一見ありふれた情死に見えたが、博多のベテラン刑事・鳥飼重太郎は、佐山が持っていた車内食堂の伝票から事件の裏の真相を探るため、一人、捜査をすることにする。

 一方、佐山は現在社会をにぎわしている産業建設省の汚職事件の関係者であった。この事件を追っていた本庁の刑事・三原紀一は、心中事件を追って九州へ向かい、鳥飼と出会う。

 捜査の結果、二人は、東京駅で13番線プラットフォームから15番線プラットフォームが見えるのは、1日の中でわずか4分間しかないことを突き止め、安田を容疑者として追及しようとする。だが、安田には完璧なアリバイがあった。
 

出典
原武史(2018/3)、松本清張スペシャル、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)


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