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2018年1月25日木曜日

(1128)  人口減少の適応策と緩和策 / 「人口減少社会の構想」(12)(放送大学)


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(K0269)  生活援助ヘルパー <公助>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2018/01/k0269.html
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目標&ポイント

===== 引用はじめ
 人口減少に歯止めをかけようとするのが<緩和策>であり、人口が減少しても困らないようにするのが<適応策>である。人口減少への関心は<緩和策>にもっぱら集中しているが、仮に出生率が大幅に回復しても数十年は人口減少傾向が続くため、いずれにせよ<適応策>は欠かせない。
 都市計画アプローチの人口減少対策として取り組まれているのが、都市のコンパクト化であり、<適応策>と<緩和策>の両面を持ち合わせている。しかし、<適応策>としては、逆市街化するエリアに対する展望が必須であるのに、それが副次的で、市街地を維持するエリアに対する施策が中心に据えられている点が課題である。
===== 引用おわり
 

「第12章 人口減少の適応策と緩和策」の目次

1. 人口減少と向き合う枠組み・その前提
2. 都市計画で試みられていること
3. 市街地から外すエリアへの対策
 

【各論】

1. 人口減少と向き合う枠組み・その前提

(1) 人口減少は自明な問題として扱ってよいのか
 人口減少自体が必ずしも問題ではない: 松谷明彦は「人口減少は本当に憂慮すべき問題なのだろうか、むしろ居住空間や余暇など質的に充実した社会を確立する好機である」と明るい未来を提示しようとしている。1人当たりの居住面積など、1人当たりの指標は、量/人口であるから、分母である人口が小さくなることは指標の改善につながりやすい。人口が減少して国総体としてはマイナス成長でも、1人当たりの豊かさは向上し続けることは可能である。

(2) グローバルな人口動態の文脈で人口減少はどう位置付けられるのか
 減少と増加の両極を抱えるグローバルな人口問題の一方の極である: 地球規模でみると、人口増加の勢いは止まらず、都市化が加速し、特に人口急増に起因する深刻な社会問題が抱える大都市が焦眉の問題となっている。日本が人口減少問題の深刻さを訴えても、グローバルな人口増加を吸収するスポンジとして期待されるだけである。

(3) 出生率が回復しても数十年間は人口減少局面が予想されているのはなぜか
 人口減少は数十年ほぼ確実に続く: 出生数は、出生可能な女性の数と出生率の積で決まる。出産可能な女性の数が数十年にわたって減り続けるために、仮に出生率が目標とする 2.07 に改善しても人口減少は続く。

(4)  緩和と適応という考え方
 ここで、人口減少対策として、人口の減少を食い止める<緩和策>と人口が減少しても困らないようにする<適応策>を分ける発想を導入してみる。<緩和策>に目を奪われがちだか、限界がある。<適応策>は絶対に必要なのに、取り組んでいない。木下斉は、「問題なのは人口減少そのものではなく、減少することがわかっているのにそれに対応しないこと」と述べている。
 

2. 都市計画で試みられていること

 略
 

3. 市街地から外すエリアへの対策

(a) 都市は、拡大するときはスプロール的である。饗庭伸は、縮小するときは、逆スプロール的にはならず、気泡が増えるようにスポンジ的だととらえている(図12-4

(b) しかし、わが国の都市計画分野では、人口減少プロセスで市街地が縮むように一回り小さくなる(都市がスプロール的に拡大するプロセスの逆回し)ことを大前提としている。日本で、都市のコンパクト化を試みているところもあるが、集約化にともなって居住しなくなる地域についての施策は副次的なものにとどまっている。施策の要であるのに、市街地から外すエリアの展望は示されていない

(c) デトロイト(アメリカ)は、「現状の土地利用では住宅地が58%を占めるのに対して、2050年では現状の戸建て住宅地密度を維持する部分を22%まで落とし、22%を緑地の多い低密度な宅地とし、29%を生産緑地や生態緑地に塗り分けられた」プラン(図12-2)を示している。都市農業を縮小都市の次世代産業として期待し、市街地から削られる部分の将来展望を、個々の場所に応じて具体的に示すことにより、多様な規模の多様なかたちの都市農業を誘発する
 

出典
岡部明子、「第12章 人口減少の適応策と緩和策」、宮本みち子・大江守之、「人口減少社会の構想」、放送大学教材(‘17)


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